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COSMOS

宙組「カルトワイン」感想

宙組公演カルトワインの感想です。

どうして感想あげるのここまで引き伸ばしてしまったか。理由は色々あるんですけどまあ一番大きいのはこの作品に爆デカ感情を抱いてしまったからですかね。言葉に言い表せないぐらい好きです世界観もキャラクターも言葉遊びも配役も。あと配信見てから全体的にまとめようと思ってたのでそれが目の前から突如消えたことに対する整理がずっとできてなかった。今更なので忘れている部分も多いですが雑多な感想です。細かい部分は気にしないで。
池袋と梅田で結構お芝居や台詞のニュアンス変わったと思うんですよね。私的に1番分かりやすく熱量が上がったのはもえこかな、いろんな場面で必死さが増したんですよね。ホンジュラスから逃げると決意したときのもえこの必死な目にもシエロにこの舞台を降りてくれ!って懇願するもえこの目にもより熱が籠っててより苦しくなった。俺はお前と一緒に真っ当に生きたいんだって訴える気持ちが増して凄く良かった。あとはワイン庫にシエロとアマンダが一緒にいるって聞いたときの反応!あれもよかったね!

それでは感想いってみよう🍷

プロローグ。客席に問いかけるオークショニアひなこの1人語りからはじまります。凄い堂々としてた。「それでは参りましょう!オークション、スタート!」の掛け声とともに照明明るくなってプロローグ。ここの振り付け格好良くて好きだったなあ。ずんさんの開演アナウンスと共に踊る男役たちお洒落だし、ずんさんが登場して階段降りてきたら娘役があらわれて絡んで踊るのもお洒落。椅子を使った振り付けもオークションと一体化して進む構成も主題歌もとても良くて記憶に残る。熱気に溢れるオークション会場。そこにFBIなっつたちが乗り込んできて場面はオークション会場から裁判所へ。ニュースキャスター達がオークションのワイン部門責任者のミラに突撃インタビュー。裁判所でずっと無表情決めてたのに出身を聞かれてはじめてニヤリと笑うカミロが頭に残っている。

場面は変わりホンジュラスのクラブ。男女が絡み合う結構際どいクラブ、そんなクラブで店員として働いているフリオ。お客にバリアーダを振る舞いつつ実家の食堂の場所を教えるもその辺りはマラスの抗争が激しい地域で……そこにシエロがやってきて腕のタトゥーを見てお客達は怯えて逃げていく。ここのフリオが言う「シエロ」のイントネーションがすごい好きだった。なんかたしなめてる感じで兄弟に向ける呆れ声っぽくて。
コルミージョ(マラス)のアジト。上司?であるわんたから銃を渡され指令をうける。みかじめ料を払えていない家があるんだがお前のダチの家なんだってな?掃除してこい。って言われて銃を押し付けられるシエロ。顔中にタトゥーいれてるわんたさん本当にビジュアル濃くて、口ピもしてて、がたいが良くて、謎に銃背負ってて、柄on柄で怖すぎた。舞台がピリピリしてて緊迫感があったしほんとわんちゃんはこういう悪役芝居が上手い。好き。
フリオの実家に行くシエロ。父ディエゴ(まっぷー)と妹モニカ(はんな)とフリオ(もえこ)の三人家族。棚にはたぶんマリア像が飾ってありました。「撃ちなさい、お前が望むならば」「だがそれは本当にお前の望みなのか?」1度はディエゴに銃を向けるものの撃てなくてうずくまるシエロにそっと寄り添いそっと銃を取るモニカ。銃持つ手が震えてるのに、だけど一切の迷いもなく精一杯の愛情を向けてくれるの女神なの?指示を達成できない奴は生きるか死ぬだけだ!って叫ぶシエロに「逃げよう!」と提案するもえことそうだなって頷くディエゴにモニカ。唖然としながら3人を見ているシエロ。ここのもえこちゃんの熱気が梅田で倍増してて超好きでした。
移民達と合流して逃げていくシエロ達。途中濁流に巻き込まれる移民(いとゆ)を助けるも、それがきっかけでコルミージョのメンバーだと気づかれる。マラスだと知って周りからのシエロを見る目が変わる、そんな中で声をあげたのはモニカだった。「この人は悪い人じゃないわ。」「だから国にいられなくなったの。私達と一緒よ。」モニカに続いてディエゴもフリオも一緒に頭を下げて移民達に一緒に旅を続けてくれるようにお願いする。その様子を見たリーダー(聖)は「お前達がしっかり見張ってるならば」と同行を許可する。ここの3人のお辞儀の角度がしっかり揃ってるのも、シエロ本人よりも必死なのも泣けて泣けて仕方なかった。周りからなじられてもシエロは一切表情変えないんだけど、その分3人が感情を請け負ってる感じがしてこの対比がこれまたずるい。同行許されたあとのフリオがシエロにかける「気にすんなよ」って言葉とかも先程と何一つ変わらないし何一つ距離を感じない。確固たるシエロへの信頼と愛情がそこにはあって、一緒に旅を続けられることをシエロ本人よりも安心して喜んでるんだよな。シエロを家族として愛して認めてくれてるのがこの3人。周りから避けられる彼にストレートな無償の愛を注いでくれる人たち。いやもうそんなん大切にしなきゃって思うやん。
アメリカ行きの電車の屋根に乗って揺られてる。雨が降ってきて寒がるモニカの背中をそっと抱き寄せるシエロ。池袋ではチラッと確認してからだったけど梅田では問答無用で寄ってたし背中さすってたかな。より自然になってて家族が身体を寄せあって寒さをしのいでるみたいな4人の並びが表情がとても苦しかった。雨がやみたそがれてるシエロに気付き、モニカをフリオの膝の上にのせて隣にやって来たディエゴ。2人の会話でシエロの本音がちらっと出てくるのがすごい良い。シエロが素直になれない思春期の青年で、でもちゃんと周りからの自分の見えかたを分かってる頭のよい青年で苦しい。そしてそんなシエロの話を聞いて否定も肯定もせずに微笑み浮かべてお守りを持たせるディエゴ。乱雑な頭ポンポンに込められた愛情に涙。そんなタイミングで電車が止まる。強盗が乱入してきてモニカが連れていかれそうになる。真っ先に反応して素手でぶつかりにいくシエロは負傷。それを見てシエロが持ってきた銃でモニカを守るため強盗を撃ったディエゴ、解放されたモニカを抱き締めるフリオ、そして仲間を撃たれた腹いせにディエゴを撃つ強盗、ディエゴに駆け寄る3人。唖然としながら泣きすがり付くフリオと焦りながらもまずは血を止めようとするシエロは対照的だったけどたぶんそこは置かれた環境の差なんだろうな。ある意味慣れてるっていう。そんな住む環境の違う彼らだけどディエゴの最後の言葉は3人に向けてだったし、血は繋がってなくてもディエゴにすがり付く3人は身を寄せあって生きてきた紛れもない家族にしか見えなかった。ここまでの流れで毎回泣いてました。彼らは一緒にだったから辛くてもお互い支えあって逃げてこられたんだと思うの。生きるか死ぬかの選択肢しかなかったシエロに「逃げる」を与えたのはあのフリオの発言と乗り気になってくれたディエゴとモニカのおかげなのは間違いなくて。「シエロと一緒に生きたい」から一緒に逃げてくれたし周りから白い目で見られても必死に庇ってくれる、そんな彼らに愛を感じないわけないんだよな。父さん、アメリカについたよ!って泣き叫ぶフリオの背中を抱き締めるシエロにこの兄妹を守るって決意を感じました。あの瞬間凄くお兄さんに見えたなあ。ディエゴを失いたくなくて一緒に逃げてきたのに結局失ってしまうのは辛いけど、アメリカに逃げてきたからこそ残された兄妹たちの未来を繋げることが出来たし自分の手を直接汚すこともなかったからこの選択は正解だったんだろうな。

所変わってアメリカ。州知事(あらしの)が国境に壁を作ろう!と演説中。賛成派と反対派に分かれる広場。移民が流れてきたことによって元々の労働者が職を失っている。移民の労働者が集まる場所に現れたシエロとフリオ。職探しをするも上手くいかず労働者たちに自分を安売りするな!って怒られる。ここの歌、どんなに見くびられても自分の価値は自分で決めろ!みたいな歌詞だっけか。それをきょとんとした顔で聞いてるシエロが本当に小さくて何も知らない無垢な青年に見えてだな……
そんなこんなしてたら身なりのいい余裕ありそうな男(あーちゃん)が登場。おもむろにたばこを吸ってる彼をみたシエロは荷物のスリをしようと提案。逃げきれるかと思った次の瞬間彼の部下に見つかって追いかけ回されることに。彼の名前はチャポ。アメリカでペットショップを経営している元マラスの大実業家。「お前コルミージョのメンバーだろ」とマークで所属を見抜き、スカーフといて胸のタトゥーを見せつけて「お揃いだ」ってしてくる。いわゆる「成功した人間」な彼はシエロの語る夢を聞き、シエロを気に入り、連絡先を渡して去っていく。この時シエロはふてくされながらも名前も素直に答えるし貰った連絡先もぼけっと見つめてる。それをフリオがいちいち嫌そうに見るのが細かくてポイント高い。チャポに聞かれて自分の名前を答えたことに対してもは?!って顔するし、シエロが連絡先見てるのも気にくわなくて手から連絡先の紙奪い取って破いて投げ捨てるし。「あいつが堅気に見えたか!」「(ああいうのと)関わるとろくなことがない!」みたいな台詞で怒る。それに対して自分の腕のタトゥーを見せて俺もか?って聞いてくるシエロ。「…お前は人を殺してない」「直接的にはな」の会話が2人が生きてきた世界の認識の違いを感じさせてきてなんとも苦しい。軽く調べた情報が本当なのだとしたら間接的には関わってるしそれをシエロは隠すこともない。自覚してる。しっかりしてる。
そのあとの上手いこと転がってこないかな(願望)に対して上手いこと(現実)が転がってくるって流れ、言葉遊びが上手くって最高でしかない。豆のおじさん(たっくさん)の陽気さもあいまってこの場面ほんと好き!!いつの間にかアドリブになってたけど私が好きなのは突然のお豆さんが転んだ(だるまさんが転んだのパロディ)です。即座に反応する反射神経さすが!この後の場面でも下級生に引っ張られていたお豆さんが転んだ、あれを越えるアドリブには出会えなかったな。あとは食堂の息子が俺豆嫌いなんだよねとか言いだしたのもツボでした。まぷさんホンジュラスで豆のスープ出してなかったです?あれ?
豆のおじさんは近くの広場のフードフェスに出展する予定でちょうど人手を探してました。そんなこんなで豆のおじさんの屋台でバイトすることになった2人。ナチョスのソースの味付けの違いを説明できずお客さんと喧嘩になりそうなシエロとしっかり説明できてにこにこフリオの対比超可愛い。お店にやってきたアマンダ(さーちゃん)に一目惚れフリオも可愛い。みんなで楽しんでいたらアマンダたちが酔っぱらいに絡まれる。みんなが遠巻きに見ているなか、その場にあったものを使って颯爽と助けるシエロ格好よかったな。何かお礼を…というアマンダパパ(すっしー)に「じゃあレストランで働かせてください!」「なんでもします!」って言うシエロ。しっかりフリオも売り込む。料理はフリオの得意分野だからだとしてもシエロのなかでフリオの優先順位が高いのたまらんです。フードフェスなので周りで下級生たちがわちゃわちゃ祭りを楽しんでてて目が足りなかった!
暗転。セットのバミリ?が光ってたから、ぐるっと回る様子が夜の遊園地(メリーゴーランドとか)みたいに見えて素敵だった。クリスマスソングを歌いながらはけていく家族(なっつ、りずちゃん、としこちゃん)の背中を楽しげに見ながらごみだし中のフリオくん。家族仲よかったもんね。アマンダへの気持ちはバレバレで、一緒にゴミ出しててた先輩(こなん)に、さっきお嬢さんとシエロが一緒にワイン庫に入ってくのを見たよってからかわれる。ただ事ではない様子を匂わせるからどういうことですか?!ってなるフリオくん。ここの反応、池袋はワンテンポ遅れてたんだけど梅田で即レス低音ボイスになったの好きだった~~!
一方その頃ワイン倉庫ではアマンダがシエロにワインの味と知識を教えています。はじめて数ヵ月で天才的な味覚を発揮していくシエロ。純粋にワインに向き合って楽しんでる姿は可愛くてでも生意気で 。そんなギャップがたまらないよ分かる。「知れば知るほど首ったけ」という歌詞をシエロはワインに向かって言ってるけどアマンダはシエロに向けて言ってるの最高すぎるよね??!!ほんと良い!!!そうしてアマンダはシエロにクリスマスプレゼントってことでスクリーミングイーグルを渡します。高級ワインです。そうして去ろうとしたら様子が気になって来てしまったフリオと鉢合わせる。ここ樽に隠れきれないもえこちゃんがめちゃくちゃ可愛くて好き。突レポかな、樽が思ったより小さくて隠れられなくて~って言ってたのも可愛かった。樽に手と顎乗せてふてくされてるのもかわいい。鉢合わせてきゃあ!ってなったアマンダとフリオを交互に見てお?みたいな顔してるときのシエロも好きだったな。シエロ何かを察した顔してたけどみんなフリオの気持ちに気づいてるんだね。アマンダが去ったあと「このワインいくらで売れるんだろう…」って呟くシエロ。その使い道として真っ先にモニカの病院代が出てくるのが最初から最後までぶれないんだよな。彼にとって兄妹が一番大事なのだと最初から示されている感じがする。
貰った高級ワインを実は連絡先を隠し持っていたチャポの所に売りにいくシエロたち。「これはカルトワインっていってなあ」とうんちく語りだしてウキウキで高値で買い取ってくれたチャポさんちょっと可愛かった。ほんとにワイン好きなんだなって思った。ここでチャポさんのテンションと表情に気付いていれば…………あと暗闇のなかスタンバイするために走る手下わんたとましろくんがかわいかった。
(たぶん)手に入れたお金でモニカを病院に連れていき検査した2人。治療には六万ドルかかるとのこと。そんな大金ないよ……と落ち込むフリオに(スクリーミングイーグルの)○本分だな!(本数忘れた)と言い放つシエロ。そんなに盗めないよ!盗むんじゃない作るんだ!味見用の一本だけを盗み「カルトワインに乾杯🍸️✨🍸️」「なんっだこの味は…!」と感動するシエロと「上手いなあ😆」ってなにも考えずカラッと笑うフリオ。対比が素晴らしいですね!ずんちゃん背伸びた!?と思ったあの靴めちゃくちゃインヒール?脚も長いしもえことの背丈感もばつぐん。というか衣装が良い!!そうして味を覚えてワイン錬金術を行う2人。コロスたちがスーバーで売っているワインになったり鷲になったり混ぜ合わせるスパイスになったりして一緒にワイン作りを盛り上げるのめちゃくちゃおしゃれだった。振り付けもみんなの表情豊かさもたまらんかった。
できたものをチャポさんところに持っていく2人。突然大量に持ってこられたカルトワインに訝しげな表情を浮かべるチャポさん。案の定偽物だとバレて手下たちに殴り蹴られる2人。「やれ」の一言で手下みんな動かすのドスが効いてて最高にボスの風格あってゾクゾクきた。ワインを飲んでみたチャポさん、ん?という表情をして部下を止め、(ボトルの)中身はどうした?とシエロに聞く。安いワインをブレンドして作ったと答えるシエロ。しっかりこいつ(フリオ)は関係ない!と予防線をはって。その回答を聞いたチャポさんは「俺のところに来ないか?」「もっと高品質な紛い物を作らないか?」と誘う。対価としてモニカの手術費の六万ドルを前借りさせてくれ!と交渉して、実際に貰ってチャポのもとへいくことを決意するシエロ。お前だけ行かせるわけには…!なフリオにたいして「足手まといなんだよ!!!」と返すのがほんとしんど。お前は光の中で行きてろよって顔して見送るのるのがしんど。最後、本当にお前は勝手なやつだな!!と言い捨てて去っていくフリオ。その後ろ姿を見送ったあとに「恐れなど捨て去った」「もう何も怖くない」と自分の野望に向けて突き進むギラツイたシエロが見れるのがとても好きだった。フリオには見せない顔だもんなあれは。

2幕。オークション会場にて。入りもまたオークショニアひなちゃんの語りからはじまります。臨機応変に台詞とか言葉の間とかを変えてきてて度胸あるなと思った。素敵だったな。
シエロがチャポのもとへ行ってから10年。今日もまたオークションがはじまる。コレクターたちが集まるオークションで高値でワインを落札し続ける若い男がいます。彼は誰なんだ?と盛り上がる参加者たち…そんな会場で突如始まったワインのシークレットティスティング。全問正解したかたにはロマネ・コンティ1945年を贈呈!もちろんなかなか当たらない。しかしそんな場でもピタリと全問正解させたこの若い男こそがカミロ(シエロ)だった。見事豪華高級ワインを手にしたカミロ。そんな彼に「はじめまして」と話しかけに行ったのはチャポ。チャポはこの10年の間にワインが好きな人たちの集まり(グランピーガイズ)とのコネクションをげっとしていてオークションに参加していた。念入りに準備したのかな抜け目ないっすわ。チャポはグランピーガイズの面々にカミロを紹介する。そしてカミロは彼らのワイン会に参加することとなる。
いかにも高級レストランという長テーブルで会話を楽しむグランピーガイズとカミロ。自分が競り落とすつもりだったワインを取られて拗ねるグランピーガイズのリーダーミシェル(わんた)を見かねて違う視点からカミロを誉めてるチャポさん胡散臭くてすき。若手マシュー(聖)のそろそろはじめませんか?という声に合わせてはじまるグランピーガイズのワイン会!高級ワインで殴り会いしているようすをボクシングに見立てて表現するのセンスありまくり。曲聞いたことあるなあと思ってたらこうもりの乾杯乾杯♪っていってる曲だった。だいぶやってること意味わかんないけどみんなたのしそうだしめちゃくちゃ酔いが回ってる。キャラ的には「まいったな~みなさん今日はいつもに増して熱いですね!」とか自分のワインをもったいぶっておきながらみんなグランピーにさせちゃういとゆがツボ!!!!そうしてワイン会を楽しみお迎えがきた彼を見送るグランピーガイズが「彼は何者なのか」という談議をしてるのが面白かったです。そんな彼らの噂を聞きながら「彼から聞いたんです」と嘘の情報を流すチャポさんほんとに抜け目ない!みんな純粋だから信じちゃうんだよね。
帰りの車の中で運転手をしているチャポの手下ミゲル(ましろ)、後部座席で笑いが止まらないカミロ。この二人の絡みもなかなかによい。真白君のアドリブ力というか舞台度胸というか凄いなと思いました。ずんさんからの無茶ぶりにもちゃんと答えようとしてたし反撃もしてたし頑張ってた。目立ってました!
どんどん狂乱するオークション会場でついにカミロにオークション会場の責任者であるミラが声をかけてきます。会話の中で嘘と(アマンダの)事実を混ぜて生い立ちとか信じ込ませるのこれは普通に詐欺師だ。そして上手くミラの言葉を誘導して「ワインを出品してみませんか」と言葉を手に入れる。からのチャポさんの回想シーンへ。この10年間シエロをどうやって育ててきたのかを語ってくれます。最初の2.3年は偽造ワインを沢山作らせてワイン商に売りさばいていた。そのうちいつまでも自分の名前で売っているのは危ないと判断したチャポさんはシエロに1着のスーツを仕立てます。そして「カミロ」という名前を与えます。自分の可能性を試してみたくてたまらないんだろ?とシエロに感情を植え付けます。「これは俺からのギフトだ」「覚悟を決めろ」という最後のセリフめちゃくちゃかっこいい。
暗転したらすっしーパパの「覚悟は決まったか」というセリフに引き継がれる。フリオは新しい店舗の支店長を任されることになったのでした。同僚からもおめでとうと声をかけて貰うフリオ。ここでフリオがアマンダにプロポーズをしていて、でも返事待ちなことが分かります。アマンダがワインの下見会に行くとのことでそれに同行するように頼まれたフリオ。そのワインの下見会でアマンダは酔っ払いに絡まれカミロに助けられます。2人の間に流れる絶妙な空気感…ミラの登場によりその場は収まるもののアマンダはシエロによく似たカミロのことが気になって仕方がない。遅れてやってきたフリオにも気づかれて心配される。フリオが離れた瞬間ふっと周りを寂しそうに見渡すアマンダがとても好きでした。シエロの面影を探し求めていた感じがして。一方のフリオもシエロと再開します。「なんでこんなところにいるんだ!」と怒るフリオと「久しぶりだなー!」とただただ再会できて嬉しいシエロ。一瞬で10年前のシエロに戻って話始めるずんさんに頭が混乱しました。身なりはずいぶんきれいになったしあの頃の面影は消えてきているのに、それでもフリオと喋ると一瞬であの10年前に戻れてしまう。ちゃんと頭の中に1幕の風景が浮かんできて屈託のない笑顔が浮かんでくる。ずんさん天才では?ほんとうに彼女は人間味のあるお芝居が上手くて、その変化を伝える力が凄くて惚れ惚れする。フリオにあってまず聞くのが「モニカは元気?」なのも、フリオから「元気だ」「お前のおかげだ」って言われて喜びをかみしめるくせにその顔をフリオには見せないのも切ない。そしてまだ偽造ワインを作ってるのか!と責めるような口調なのに2人が喧嘩に発展しないのはフリオが心底シエロを心配しているのが伝わってくるからというのもしんどい。「終わりは自分で決める」と言って去っていくシエロから確固たる意志を感じる。その後会場で再びアマンダと出会い二人の関係がまた動き出すのもしんどい。アマンダとフリオが結婚するって直前に聞いてるのにも関わらず口封じとしてアマンダにキスをして「またゆっくり話そう」と言って去っていくカミロとかほんとずるすぎないか。ここからのもえこ⇒ずんの歌い継ぎの曲がとても好きなんだよね。成功しているはずなのにスポットライトも称賛も浴びているはずなのに苦しそうに笑うシエロが印象的でした。「浴びせてくれ 俺の価値に見合う称賛を 浴びせてくれ 欲しいだけの夢を作ってやるから」飲めば飲むほど乾いていくワインのように称賛を浴びても浴びても満たされない。それってどんな感覚なんだろうか。

ところ変わってとある富豪(たっく)の豪邸へ。オークションでシエロの高級ワインを2ダース競り落とした富豪が女の子たちとワインを飲んでいる。そこに踏み込んで来たのは彼の息子(のあん)とその友達であるワイン収集家(聖)。息子はそんな高値でワインを買うなんて父さんはどうかしてる!と怒り、息子の友人は彼が競り落としたワインの生産量の観点から偽造では?という話をしている。ミラを呼びつけて説明を求める息子、落札は全部自己責任だと言われて怒る富豪。疲れはてたミラは自室にカミロを呼んで一緒にワインを嗜む。そして10年ほど前にフードフェスで出会った貧しそうな青年の話をする。「人って変わるもんなのねえ!」とお怒りモードなミラに焦るシエロに対して、マージンの引き上げ提案と誘惑を行うミラ。穏やかな顔が一瞬で歪んで冷たい目になってミラに覆いかぶさるシエロが芸術品みたいな輝き放ってて綺麗だった。
シエロとワインを飲んだアマンダは上機嫌。恋する女の子の目をして歌う健気さがたまらない。コートをかけて貰う時も凄く楽しそう。そんな彼女たちの一方でホテルの部屋で1人やさぐれているフリオ。ワインに溺れながら一人きりの夜を過ごしながらアマンダの帰りを待っている。「どこいってたの」「きれいだよ」帰ってきたアマンダにバックハグをするフリオ。貴方酔ってるといわれてもやめないフリオ「僕はずいぶん待ったんだ」「返事を聞かせてくれないか」逃げるアマンダを捕まえるフリオ。「何で君がこんなに綺麗になったから知ってるよ」「恋をしているからだ!!!」あいつの経歴もワインも全部嘘なんだ!!!それでもあいつが良いのか!?ここの緩急激しくてとても良かったです。こんなに声を荒げるもえこちゃん私のイメージにはいなかったから新鮮だった。(偽造だなんて)分からなかった…と呟くアマンダに飲んだことを確信し、それでも弁明するアマンダの言葉を聞いて二人の間には何もなかったと信じてると言えるフリオ。だけど逆にアマンダからは「私は何もなかったことにしたくない」と言って振られるフリオ。結局はいい人止まり。ここのバックハグからの壁ドンなんですが勢い良くなって更にときめき度があがったのが2日目以降でして。なので初日映像だと勢いが弱くてもっと良いもえこを残してほしかったなという思いがいつまでも消えません。あの時は仕方なかったことではあるんだけど、日を重ねるごとに勢い増してくもえこちゃんが最高すぎたので一生引きずってるし初日映像だと足りないので記憶の中のもえこちゃんを毎回登場させております。虚ろな目のもえこも超絶良かったんだよな……ほんと役者の生かし方が天才だと思う栗田先生…
FBIに調査依頼をする富豪たっくさん。シエロはチャポに、ミラに昔のことがバレてマージンを引き上げられたんだ!これ以上はまずい!と訴えるが相手にしてもらえない。役者は自分で幕を下りることが出来ないことを突き付けられるシエロ。鼻歌を歌いながら胸元から出したのは昔ディエゴに貰ったお守り。そのお守りに文字を刻んでいく。
ミシェルさんに情報提供を求めて拒否られるFBIたち。そこから情報提供者が見つかって走り出すFBIたち。からのもえこピンで「ワインとはなんでしょう」立ち姿が超かっこいい。オークションの熱は止まることを知らない。冒頭のオークション会場と同じ風景。会場入りするシエロの前にフリオが現れる。司法取引をしてチャポの名前をだせば刑が少しは軽くなる!といいはるフリオの言葉に耳を貸さずに、ディエゴに貰ったお守りを投げるシエロ。舞台が跳ねたら取りに行くからというセリフを残して階段降りていくのもう完全に捕まる気じゃん。裁判でグランピーガイズたちがわりと好意的な答弁をしているのはそれだけ彼が良い面ばかりを見せていた、ということなのでしょう。ワインへの愛や知識があると思われていたのでしょう。そのあたりは本物だったのかもしれないよね。「偽造の何が悪いんです?」と開き直ったシエロの訴えが結構胸に突き刺さってました。自分の価値は自分で決めればいいのだとやっと気づいたシエロも、物の怪がすっと抜けたかのような表情をするシエロもすごくすき。
最後面会でフリオに渡したペンダントに宝のありかを刻んでるから俺が出所する時それをもって迎えに来いよ!そしたら仲直りな!って言って2人で笑顔で顔見合わせるの良き良きでした。囚人服ずんさんとてもよく似合ってる。暗い終わり方にせずに未来につなげる描き方するの流石だなと思った。

というわけでずんさんのリベンジ東上公演でした。凄く凄く素敵だったし楽しかったし1人1人の顔と名前が一致したし全員が主役になれる作品だったと思います。
次回作ハイローの退団者は全員カルトワイン組ということで寂しさも募りますが、最後の最後までこの舞台に生き抜いた彼らの事を見送りたいと思います!

大好きな作品になりました。

ポスター | 宙組公演 『カルト・ワイン』 | 宝塚歌劇公式ホームページ